製作秘話第二弾 信楽焼 浴槽 楕円形 前編 - 株式会社ヒーリング

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信楽焼 浴槽 楕円形 製作秘話 ~浴槽のポルシェを作ろう~ 前編

信楽焼 陶浴槽 楕円形 仕上げの風景

写真の浴槽製品サイズは1300mm×800mm×520mmです

前回のご注文は、陶製品において難易度の高い長方形でしたが、
今回は新型楕円形のご注文を頂きました。
そもそも新形の設計時に円形・楕円形・長方形の3種類を揃えていました。

設計は3Dのソフトを使用し、私と同じ大きさの人間モデルを、設計した浴槽にパソコン内で入れてみる…その状態を観察しイメージするんです。
くつろげるか、そうでないか、見えない問題点は無いかなどです。

新形の円形浴槽と楕円形浴槽の縦断面は、同じ形状に設計したのです。
このラインを決定するには少々時間が掛かりました。浴槽の淵から底の水平部までの距離が気になったのです。
つまり人が浴槽の淵をまたいで、入浴する際のポーズ、なんです。
男は良いでしょうけど、女性が大きくまたがなきゃイケない浴槽は…イメージに耐えられませんでした。

ん~これぐらいかな、と幅を決めて底から高さまでの1本のS字ラインを決めました。
従来の浴槽は二次曲面ですが、新形の円形・楕円形の側面は、全て三次曲面で覆われることになったのです。
特に楕円形は、長径と短径の比率を黄金比にこだわり、幾何学で描く短径の大きさも"くつろぐ"を意識して少し大きく設計しました。
このことは一見して従来品に無い魅力を持たせることができました。
CG上で見ていても「入りたい!」と思うほどでした。


信楽焼 陶浴槽 口元の仕上げ

しかしこの浴槽形状は、従来の成形過程において問題点が何箇所かあることも理解していました。
焼成時の強度を考慮すると、底面からの腰の位置にあたる肉厚は従来品の2倍近くになります。これは乾燥工程において不利な条件になってしまうんです。
また、成形時に従来品に使用できた形状保持サポーターも、三次曲面のS字には対応出来なくなります。
「問題はあるけど、ともかくいっぺん作ってみよう」というのが正直な気持ちでした。
挑戦的に燃えなければ、新形状とは言えません。
またメーカーとしても大きく成れません。


信楽焼 陶浴槽 口元

成形の前には担当者に浴槽のイメージCGを見せ、
「こんな感じにしたいんや」と伝えました。
担当者は「おーっ、これ作りたいです!」とやる気満々でしたが、逸る気持ちを抑え、設計理念や製作注意点を伝えました。
その際に私は担当者に、スポーツカーのポルシェの板金工程の話をしました。
あの車体面を作り上げるのには、入念に人手が関わっている。
完璧にという人の気持ちが入っている。
「磨き上げる」という言葉がふさわしい曲面なのです。

「浴槽のポルシェを作ろう」という気持ち。これを念頭に置くと下地の大切さも理解できます。
新形浴槽は全て、完全に乾燥した後に面を削り出す重工程があります。
削り上げた表面は、他の素材に無い表情があり、
暖かさも感じられて個人的にも好きなのです。

いざ新形楕円の成形に入りましたが、前もって底面のゲージ板を作っておいたので、問題無く順調に出来ていました。
これまでの千台以上の浴槽の製作経験が無かったら、難しい形状だったのでしょう。
写真は本体成形が終了して口の仕上げをしているところです。
ここまでのプロセスは企業秘密なので、残念ながらお見せできませんm(_ _)m

乾燥後には口元以下の側面を全面研磨して、もっと素晴らしい表情を持つ浴槽が完成する予定です。
4月19日現在、自然乾燥中です。
つづく

信楽焼 陶浴槽 楕円形 CGイメージ 信楽焼 浴槽 楕円形 製作秘話 ~浴槽のポルシェを作ろう~ 後編はこちら

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